2012年11月10日に行われた九州山口屈折矯正手術研究会にて、日本国内での15歳以下のオルソケラトロジー使用に関する有効性および安全性が非常に高い事が、筑波大学より報告されました。
オルソケラトロジーが小児の眼軸伸長を抑制し、近視の進行を予防することは既に海外のデータで証明されていますが、これまで日本国内での多数例のデータはありませんでした。
アジア諸国ではオルソケラトロジーの約80%は18歳以下に行われ、主に近視進行抑制を目的としています。特に台湾や中国では90%以上が学童児童を対象と成果をあげています。
今回の大規模な日本国内の児童を対象とした研究で、その解析結果が報告されました。まず自覚屈折値と裸眼視力は治療翌日から有意に改善していき、2週目以降で完全に安定します。その上眼圧、角膜厚、角膜内皮など眼球自体に変化はなく、成人と未成年者の間でも特に有意な差はありませんでした。
オルソケラトロジーは中止すれば2週間で完全に元の状態に戻り、角膜厚や内皮細胞などの眼球自体の構造や、高次収差視機能などにも一切影響を残すことがない事が確認されました。つまり、オルソケラトロジーは非常に安全性が高く、有効性も海外でのデータと同様に素晴らしいことが証明された訳です。
特に-6D以上の病的な強度近視は、生涯にわたり黄斑変性、緑内障、網膜剥離など失明につながる病気をを発症する可能性が高く、WHOがこの強度近視を「失明原因の5大疾患」として指定しています。
強度近視になってからではもう治りません。近視の進行が予測される小児のうちに進行を遅らせて、強度近視にならないように眼軸延長防止するための処置を早期にとる必要があります。
残念ながら、眼鏡やコンタクトでは近視の進行は止める事ができません。近視の進行を大幅に遅らせることができる唯一の方法がオルソケラトロジーなのです。